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20日深夜、彼女の94年の長い人生が
幕を閉じた
延命のための措置を要求しなかったことで
最後は苦しまずに、眠りについた
もう重いしがらみもなく
つらい痛みも感じず
人の目を気にせず
安らかな気持ちで
永遠の眠りにつけたこと
それだけが嬉しい
なにもできなかった
わけではないが
長い人生を生きてきたのに
知らなくてはいけなかったこと
すごく大事なことが伝わらなかった
それだけは悲しい
とうとう
言葉もでてこなくなってしまった
車椅子に座ってもらってることも
痛々しい
だが、表情は険しくなく
手は握り返してくる
視聴覚のない世界で
いま何を考えているのだろう
死んではいない今の状態
ひとりきりで寂しい思いはあるのか
それとも、もうそれすらも超越した
自分の世界に飛んでいってるのか
この人のいままでの人生を思い返してみて
これが幸せだといえるのか
最後まで「親を恨んでいる」
といってたこと
それを覆す意識への転換を
残りの人生の中で実現できなかったこと
それが一番心残りだ
親を恨んだまま昇天してしまうこと
すごく悔やまれるが
生死の境にいると思われる今
この因果と向き合ってくれている
ことを祈るばかりである